金色のネコは海を泳ぐ
――ルーチェ。

そう、誰かに呼ばれた気がしてルーチェは目を開けた。

朝の光がカーテン越しにルーチェの部屋を照らしていて、いつのまにか眠ってしまったのだと理解する。時計を見ると、7時少し前。いつも7時に目覚ましを掛けているルーチェは大きなあくびをして起き上がった。

うつ伏せで寝ていたせいで首が痛い。

「あれ?オロ?」

昨夜、隣で眠ったはずのオロの姿がなくなっていてルーチェは布団を捲った。中にもいない。

とりあえず目が覚めたようなので良かったけれど、どこへ行ったのだろうか。最近、朝はいつもルーチェに抱きつくようにして眠っていて、ルーチェと共に起き、朝食を食べに一緒にリビングへ降りるのに。

ルーチェは大きなあくびをして枕元に開いたままだった新聞ファイルを閉じた。エミリー女王だったか……ルミエールの政治の話を読んだのは覚えているのだが。

正直、何がなんだかサッパリだった。軍の縮小をするとか、貧富の差をなくすための経済政策とか……まぁ、そんな感じだったと思う。

7時ピッタリに鳴りだした目覚ましを止め、ルーチェはファイルを取って立ち上がる。

後でまた続きを読もうと思いつつ、ルーチェはそれを机に置いて着替えを済ませてリビングへと向かった。
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