晴れのち雨

ただ優しく頭を撫でられただけなのに
不安は消えて心が穏やかになった。


「寒いし車に乗ろう。」


先生の提案に頷きかけて

「あっ!でも服も髪もグショグショだからシートが濡れちゃう...」

と、取り敢えずは先生と一緒に立ち上がったものの、一歩が踏み出せない。



カタンー


落ちた先生の傘を目で追っていると

先生に抱きしめられていた。


「ちょ...先生?!」


突然の事で何が起こったのか分からないでいると


「ほら、これで俺も濡れてもうたから大丈夫。」


と私から離れて傘を拾うと
私の手を引いて車へ向かう。



助手席のドアを開けて、私が座るの確認すると優しくドアを閉めて、運転席へと向かう先生。


そんな先生を見つめながら、煙草の香りがしない車に乗っていた。


車のボンネットには薄っすら雪が積もっていて、嬉しい気持ちになった。
< 88 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop