背中ごしの恋
「乙葉ちゃん、一人?」

リビングでテレビを見ていると、漣さんが仕事から帰宅した。

「おかえりなさい。涼介は2時間前に友達に呼び出されて、すぐ戻ってくるから待ってろって出て行きましたよ。もう遅いですし、あと少しだけ待って帰りますね」

彼は頷くと、冷蔵庫の残り少ないミネラルウォーターをボトルのまま飲み干す。ワイシャツの襟から覗く、仰け反る首筋。上下する喉仏が色っぽい。濡れた少し厚めの唇を手の甲で拭うと、煩わしそうにネクタイを緩めながら寝室へ向う。

その背中をじっと見つめ、目を閉じて想像する。漣さんの匂いが染み付いたベッドに押し倒されて、戒めのように彼の首元を締め付けていたそのネクタイで私の自由を奪う。逃げる私の首筋を彼の熱い舌先が這って――……
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