大人の関係
「よかったら私とデートしない?」
今までの空気を変えるように、明るい声だ。
美沙の返事を待たずに立ち上がる。

「車も返しに行かなきゃいけないから、家まで送るわ。美味しいランチもしましょう!
お買い物もどう?」

「あ、え?」
美沙の手を取り、立ち上がらせる。

「さあ、帰る準備して!行くわよ~」

うきうきしている奈津に戸惑う美沙。
「部屋はそのままで大丈夫よ。管理会社がちゃんと入るから。自分の荷物だけ準備してね」
物の例えではなく、本当に背中を押され階段に向かう。


長野も強引なところがあるが、奈津は更に上手だ。
こちらが考える隙を与えずにどんどん自分のペースで押し進める。
なんだか似ている。と思うとつい笑顔が漏れた。


くるりと奈津に向き直り、背中を押していた手を押し留める。
「荷物はもう詰めてあるので、すぐに取ってきます」


「じゃあ、待ってるわ」
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