恋の訪れ
「莉音だって、莉音」
昴先輩が面倒くさそうに声を出す。
別に紹介しなくたっていいし。
「あー…え?香恋さんと全然違くね?香恋さんのほうが美人じゃん」
ほら。きた。
そうなると思ったよ。
ほんと腹立つ。
「もーお前家ん中、入っとけって」
昴先輩は追い払う様に手で、追い返す。
それに答えるかのように、「はいはい」と返した弟は家の中に入り、ガチャとドアが閉まったのを確認すると、あたしは声を上げた。
「ちょ、何なのあの子!」
「なんなのって、弟」
「何歳な訳?」
「中3」
「はぁ!?それにしても偉そうじゃない?あたしより年下のくせして生意気すぎるでしょ?」
「まーそれほどお前がガキに見えたって事なんだろ」
「な、なにそれ!ほんっと信じらんない!!」
声を上げて頬を膨らます。
ほんとに美咲さん達、どーいう教育してんだよ。
どうしたらこんな風に育つわけ?
間違ってるでしょ、育て方。
だけど、認めたくないけど、相変わらず弟も端正な顔つきだった。
悔しいけど、昴先輩と同様にイケメンだった。
モテるんだろうと、そんなどうでもいい事を考えてしまった。