恋の訪れ
「えっ?誰かって、誰と俺を比べてんの?」
案の定、ヒロくんは戸惑った様子であたしを見下ろした。
「うーん…色々かな」
「は?また真理子と言い合ったのかよ」
「違うよ。真理子とは毎日だから」
「毎日って、」
「だってね、真理子あたしの事―――…」
「あー、莉音、オハヨー」
まさしくあたしの声を遮ったのは真理子だった。
ほら、真理子っていつも来るタイミング悪すぎる。
絶対あたしとヒロくんの邪魔するんだから。
「おはよ…」
思わずテンションが下がってしまったあたしは真理子を見た途端、ため息が零れる。
「弘晃も、おはよ」
「…はよ。つか面倒くさそうに言うなよ」
「だって弘晃と居たら、莉音の頭の中はお花畑になってるからね」
「は?お花畑?なんだよ、それ」
苦笑い気味で言うヒロくんの視線はあたしへと辿り、そのあたしは真理子を見て頬を膨らませた。
もう真理子が来ると調子が狂うよ。
「だからいっぱい花咲かせてんだよ、頭の中に」
「意味わかんねぇ…」
「うわっ、莉音その顔激ヤバー」
そう言って真理子はあたしの頬に手を伸ばし、膨らんだ所を引っ張った。