恋の訪れ
「あぁ…タツキのな」
なんて、それで納得した昴先輩はどう考えてもタツキ先輩のツレらしい。
「で、何か言ってました?」
「別に」
「あ、そうですか」
「つか、騒いでたから話してねぇし」
「あ、そうなんだ」
想像はつく。
来た時からガンガントークで盛り上がってたから勢いは今でも凄そう。
あれがいったい、後どれくらいまで続くんだろうと思うと、ウンザリする。
もはや合コンではない。
ただの集まり会だ。
…に、しても昴先輩もあぁ言うのは好きじゃないんだろうか。
女は好きじゃない。…いや、待てよ。
あの時出会った先輩は女と寝た挙句、女を泣かせてた。
その先輩が今ここに居て――…と考えてる思考の中、一瞬意識が遠のいた。
慣れない事をした所為か、気疲れか。いや、別に気は使ってないけど身体が重くダルい。
左手で頭を何度か撫で、一度その場にしゃがみ込む。
「…-――おい、」
意識が遠ざかっていた所為か、その声にハッとして顔を上げると、数歩先に居た先輩はこっちを見ていて、思わず足を止める。
「あ、はい」
「どした?」
「いえ…」
「先、帰るぞ」
「あっ、はい。さよなら」
無言で立ち去る先輩の姿を見た後、もう一度しゃがみ込んだまま息を整える。