恋の訪れ

ズキズキとするのは頭の所為なんかじゃない。

たまに起こる左耳が気になって仕方がない。


でも、それは今日のこの合コンの所為なんかじゃない。

遅くまで毎日起きていた所為。

まぁ、所謂寝不足ってやつ。


それは自分でも分かってた事。

寝不足だろうが疲れだろうか、とにかくストレスになるものを溜め込んでしまうと、耳に負担がかかる。

何でこんなになっちゃってんのか分かんないけどママが言うには昔かららしい。

産まれつきじゃないけど、幼少期かららしい。

でも、それは何も問題ないって、そう言ってた。


寝不足の所為か、このまま眠りに落ちちゃうんじゃないかってくらいの睡魔が襲った時、グッッ…っと引かれる腕に視界が回転する。


「…んだよ」


小さく吐き捨てられた声と微かな舌打ち。

ボヤケる視界の中に飛び込んできたのは、眉間に皺を寄せた昴先輩だった。
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