恋の訪れ

「あ、そうだ。それよりね真理子。昴先輩、帰国子女らしいの」

「えっ!?そうなの。ますます凄いじゃん」

「でしょー、見掛けによらずだよホントに」

「でもお母さんが英語教師だからありえるのかもね」

「え、そうなの?」

「うん、なんか聞いたことがある。しかも物凄い美人だって」

「へー…やっぱ謎だな、昴先輩」


お母さんが英語教師だなんて、小さい頃から英才教育?

いや、そんな訳ないか。


あの性格からして、勉強に励む訳ないよね…


「よぉ、おはよ」


不意に聞こえた声に視線を向けると、疲れも吹っ飛びそうなくらいの爽やかな笑顔が目に入る。


「あっ、おはよ。ヒロ君…」

「あーあ、弘晃なんで現われるのかね…」

「え、俺?」


真理子は、はぁ…とため息を吐き捨て、軽く首を振る。


「いや、別に」

「どうした莉音、体調悪いのか?」

「え、ヒロ君分かるの?」

「うん。なんかいつもの莉音じゃないなーって」

「ヒロ君って優しいね」

「ほーら、莉音のノロケが始まったし。弘晃の所為だからね!」

「え、俺?俺がなんかしてんの?」

「えぇ、してますね!」


フイっと顔を背けて先に足を進めて行く真理子。


「アイツ、何怒ってんの?」

「さーね、真理子は頭おかしいんだよ」


フフっと笑ったあたしは隣に居るヒロ君を見つめた瞬間、一瞬にして顔が青ざめる。
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