恋の訪れ

見ると、テーブルの上は紙コップから流れていくアイスティーを必死で真理子は拭いていた。


「ご、ごめん真理子」


あたしも慌てて近くにあった布巾で拭く。


「もー、なんなの莉音!」

「ご、ごめんって」

「もーベタベタじゃん。ちょっと洗ってくるから」


そう言って、真理子が席を外してすぐ、あたしは再び同じ場所に視線を向けた。


「な、なんで…」


昴先輩とお姉ちゃんが?

ここにお姉ちゃんが居ることは不思議じゃない。

だって、隣の大学に通ってるから。

だから食堂は大学生と同じ。

その同じ食堂にいるのは当たり前の事。


じゃなくて、なんでお姉ちゃんと昴先輩が話してんのかが分かんない。

しかも楽しそうに。


お姉ちゃんならまだしも、昴先輩が笑ってる。

あたしには全く見せたことのない表情で笑ってる。


…悪魔が、笑ってる。


これはどうなってんの?

何が起こってる?


もしかして、あたしとお姉ちゃんが姉妹だって事、昴先輩は知ってるの?って、そんな訳ないか。
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