恋の訪れ
食堂から出て教室に向かう途中、楽しそうに微笑んでる女王に出くわしてしまった。
最悪…
そう、あたしと同じことを思っていたのか、隣の真理子からもため息が漏れる。
「何処がいいのかねぇ…」
なんて真理子は呟きながら顔をしかめる。
そして通りすぎようとした瞬間、
「新田さん、」
その声に思わず顔をしかめてしまった。
「…何か?」
「あのさ、あまりヒロに近付かないでよ!!」
「え?」
「え?じゃないわよ。すっごい不愉快だわ」
「ちょっと!あのねぇ…莉音から近付いてないから!弘晃だから!!」
勢いよく割り込んで入ってくる真理子の袖を軽く引っ張る。
「ま、真理子…」
「はぁ?あんたに関係ないでしょ?」
「あるわよ!そうやって莉音にいちいち言うほうが不愉快よ!」
ちょ、真理子…
「こっちからすりゃあ、アンタも不愉快だわ。友情ごっこでもしてるつもり?」
「はぁ!?なんなの、アンタ!!」
なんでこんな展開になってんのか分からず、真理子と女王が揉め始めた。
あたしからすりゃ、もうどうでもいい。
真理子の制服を引っ張っても止めそうになく、挙げ句の果てに真理子は邪魔者のようにあたしを押し退けたー…
その瞬間、
「お前なぁ…」
頭上から落ちてくる低い声に背筋が凍った。