恋の訪れ
「す、すみません!!」
勢い余ってか、誰かの足を踏んでしまった。
「痛ぇだろ、この馬鹿」
見上げる先には、また昴先輩…
「ご、めんなさい…」
ほんとに申し訳なく謝るあたしに対して昴先輩の表情は怖い。
でも、その横で笑みを浮かべてるサクヤ先輩のほうがもっと怖かった。
短い舌打ちを切り捨てられ、身を縮める。
そんなあたしなど無視して昴先輩は通り過ぎて行った。
「サクヤ先輩まじカッコいい」
「あたし昴先輩」
不意に聞こえたその甲高い声が耳を掠める。
女王と一緒にいた女達は蔓延の笑みで、昴先輩達の背後を見つめてた。
あーあ、ほんと馬鹿ばっか。
別に騒ぐ奴らじゃないでしょ!
ちょっとムキになってしまったあたしの手が不意にグッと引っ張られる。
「わぁぁっ、」
足が縺れながらも進んで行く、身体。
真理子はフンっと顔を背け、素早く足を進めた。