綿菓子と唐辛子


「荷物、置きましたか」

「はい…」

「じゃ、行きましょう」


…どうして、俺は、1番守らなきゃいけない立場なのに、こんなところで言われるがままに動いているんだろう。

ヒメが今どこにいるのか、何をしているのかさえ、強く聞き出せなくて。


目の前の男の言う通りに、動くしかなくて。



「はぁ…」



本当に、情けなくなるというか。









本郷に連れられて入ったのは、ヒメのマンションから5分くらい歩いたところにある、喫茶店だった。


「ここです。ご飯も美味しいんで、お腹すいてたら食べてみてください」

「…」


特にお客がいるわけでもなかったけど、歴史ある古風な雰囲気を醸し出すそこは、きっと長年、近所の人たちに愛されてきたのだろう。

マスターらしき人がお辞儀をした。

それにつられてお辞儀をして、そのまま奥のテーブルに座った。



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