綿菓子と唐辛子
「…や、面白かったよ、ヒメ。ありがと」
下に下がった目をどうにか元気にしてあげなければという心理が働いた。面白かったのかなんなのか正直分からなかったけど、クラスメートを爆笑させるくらいの威力はあったんだ。まぁいいだろ。
「ほんとっ?!」
「あ、あぁ……」
「ふふーっ」
ヒメは、俺の言葉に満足そうに笑う。
…あぁ。苦しい。
誰か助けてくれ。
なんなんだ、この子のこの笑顔は。まるで、太陽の光がパンと散らばったような、そんな輝き。
ここ最近、心臓がいくつも破裂してる気がするんだ。
女でこんなキラキラした奴、俺は見たことないよ。
分からない。なんでだ。
なんでこんなに、コイツだけにこんな、心臓がうるさいんだよ。
可愛すぎる。
なんというか、こう…、ぎゅーっと…
ぎゅーっと。
「ああぁ…、抱きしめたい…」
…そう言った瞬間、カシャン!!と、勇哉が持っていた箸を落とした。