綿菓子と唐辛子
「…な、ナツ……」
「…!」
小さな声で、俺の名前を読んだのはドアノブに手を伸ばしたとき。
カーディガンのポケットを握りしめて、泣きそうな顔を俺に向けた。
「…ヒメ……?どうしたん……」
なに、泣きそうな顔してんの……。
「…あ、あの…ね、佐々木さんは、いい人だと思うよ。 可愛いし、本当にいい人らしいし、天使みたいだってみんなが言ってるらしい……」
「…は?」
佐々木さん?
なんでコイツがこんなこと言ってんの?
「あのね、男子の中でも人気なんだって…。高嶺の花なんだって…。でも佐々木さんとナツなら、きっとお似合いだと思うの……」
「……」
「…ご、ごめん、それだけを…言うために待ってたんだ、けど……。もう、もしかして彼女になった……?」
「…」