そしてキスからはじまった
「孝から聞いたよ・・お母さん入院しているんだって」

「・・はい」

「どこが悪いのか聞いてる?」

「・・すぐ手術が必要だと聞いています。」

「・・そうか・・ジュリア、君は帰って看病したいんだよね」

「はい・・帰って、お母さんを看病したいです。孝にもお願いしました。け、契約が延びてもいいです。

看病が無理ならお母さんに会って様子だけでも見たいです。お願いします。」
私は頭を下げてボスにお願いした。
ボスは困ったような声で
「ジュリア、頭を上げておくれ。」
と言って
「…ジュリアは一緒に暮らしても孝のことは好きになれなかった?」と静かに私に聞いた。

「・・孝はとても大事・・好きです。
でも愛してはいません。
孝が私を愛してくれてるのは分かってるのに・・
こ、こんな私を・・ごめんなさい。」
私は孝とボスに悪くて泣いてしまった。
「泣かないでジュリア
それは君が他に好きな人がいるから?」

好きな人?私が紫音の事を好きなのをボスは知ってるの?

「好きな人?って」

「紫音のこと好きだから孝を好きになれなかった?」

私は頭を横に振りながら

「紫音のことは好きです。
多分ずっと・・
でも・・思い出にしようと思いました。

孝と一緒にいることを選んだのは私・・紫音のそばにいるのは他の人だから…

…でもまだうまくいかなくて・・」

ボスは悲しそうに私をじっと見た。

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