そしてキスからはじまった
学校が始まる何日か前、紫音のアパートが決まった。
バスで1時間くらいのこの場所は学校に通うのは無理だろう。

別れはこんなにあっけなく訪れるものなのか?
また会ってくれるだろうか?
そんな事を考えていると涙が出そうになった。

うつむいたままだまった私の顔をのぞきこんで
紫音は困ったように
「ごめん。勝手に決めて…ちょうど二人で住むにはいい部屋があったから」
「ふたり?」
「あぁ…君さえ良ければ一緒に暮らさないかと思って」
照れたように頬をかく

「一緒に暮らしていいの?」
「うん」
「うれしい、紫音、うれしい」
私は泣きながら紫音に抱きついた。
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