そしてキスからはじまった
私と紫音の生活が始まった。

紫音は平日、大学に行き、放課後はカフェでウェイターとしてバイト
私は紫音を送りだした後、家事をしている。そんな日が何日か続いた。

-----生活費を全部紫音に頼るわけにはいかない----
そう思った私は日本食のレストランのウェイトレスの職を見付けた。
日本語がしゃべれるおかげだ。
不況のせいで仕事を見つけるのは難しい
すぐに見付けたられたことで自分が認められたような気がした。
紫音…まだかな?私は紫音に早く伝えたかった。

「ガチャ」と鍵が開く音がした。
紫音に抱きついた。
「お帰り…紫音」
「ただいま、ジュリア」優しく微笑んでキスしてくれた。
「私…お仕事したいの。いい?」
「どんな?」
「日本食レストランのウェイトレス…すぐに決まったんだよ。すごいで」
「断れないかな?その仕事」
「ど、どうして?」
「色んな客が来るんだよ。ジュリアは綺麗だから人の目に付く」紫音が怒ったように言う。
「そんなこと…」
「またあんな事あってもいいの?」
「あんな事?」
「君は人を惹きつけるんだ…変なやつも…」

…変なやつ?
過去の私をレイプをしたあの男の顔が浮かんだ。
こわい…こわい…こわい。身体がガタガタ震える。

「怖がらせるつもりはなかったんだ…ゴメン…。
ジュリアは家事をしてくれてればいいよ。あと俺の世話」
そう言って少し微笑んで私にとろけるようなキスをした。




< 151 / 274 >

この作品をシェア

pagetop