そしてキスからはじまった
紫音との未来を考えられない私は何か仕事をしたいと思った。
かといって紫音に言われた通り、人と接する仕事は無理のような気がした。
でも何があるんだろう?
実家に帰って庭の手入れをした後、お父さんの部屋でぼーとしながら考えた。

「この本…」
私が手にしている本は
『桜の下できみと』…お父さんが書いた本
桜の下であった、男女は愛し合ったが運命によって引き離されてしまった。
女の子は死に男も後を追うように病気で死んでしまった
生まれ変わってまた愛しあえることを信じて何度も生まれ変わる…
物語は猫に生まれ変わった彼らがひと時寄りそい
今度は人としていつか生まれ変わりたいと望みながら息たえる…
そんな物語…
かわいそうで「お父さん…どうして?こんな終わり方…可哀想だよ…」
そう言って涙を流す私に
「ジュリア…この話は本当の話なんだ。物語は終わりじゃないんだ。」
「終わりじゃない?」
「あぁ…まだ二人は…人間同士で巡り会えてないから」
そしてお父さんは私を慰めるためか色々話してくれた。

『美国出版』
私は10年も前のその本に書かれたアドレスに連絡した。
「仕事はありますか?」と




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