そしてキスからはじまった

先生ははぁっと飽きれたように溜息を吐いた
「相手は知ってるのか？」
「えっ」
「子供の父親は妊娠してるかもしれない…
心臓が悪いかもしれないって…言ってないのか？
君は気がついていたんだろう？
さっき結果を聞いても驚いてなかったし…」
「何も話してない…彼とはさよならするつもり」
「どうして？」
「幸せになってほしいから」
「幸せに？君と別れて？」
私はこれまでの事を話した。
お父さんが死んで借金の返済のためにダンサーになったこと…
紫音達との出会い。レイプされダンサーを出来なくなったこと。孝とのこと
紫音が助けてくれた事…そして今…彼には他に彼女がいること

先生は黙って聞いてくれた…そして苦しそうに呟いた。
「どうしてこんなことに…お父さんが亡くなって君との繋がりも無くなってしまった…
君が日本でダンサーをしてるって聞いて僕も彼女も後悔した。
彼女…僕のパートナだけど君に僕との関係を話したために君は僕を頼れなかったために
ダンサーになったんじゃないか…日本で酷い目に会ってるんじゃないかって
お母さんの看病をしている君を見て
無事で良かった…何も変わらない君を見て僕達がどんなに安心したか…」

「ごめんなさい…心配かけて…先生たちは何も悪く無いのに」
先生は悲しそうに首を横に振って
「君はどうするの？黙っていてもお腹は大きくなるんだよ」
「もう少し彼と一緒にいたいの」
先生は怒ったように
「他の女がいるのに？それでも君と暮らしている、酷い男だと思うけど」
「紫音は優しいから私と居てくれるの」
「優しい？ジュリア…他に女がいるくせに君を妊娠させる男が？」
「違うの…いつもは優しいの…酔ってたし…私が怒らせることしたの！だから避妊もしてくれなかったの」