そしてキスからはじまった
俺は日本人なのに青い眼を持つ男と赤い眼、髪を持つ女が愛し合って生まれた。特別な能力を持つ両親のせいで俺も特別な能力を持っていた。
そしてそれを隠すように教えられた。今なら分かる、身を守るためだと
でも俺には分からなかった…
そして俺には生まれてから決められたことがあった。
生まれ変わりを信じる両親によってきめられた相手がいた。
それが桜花(おうか)だった。
桜花は優しく花のように可憐な綺麗な子だった。
彼女は美しいせいか彼女の母親がそうだったように変質者に目をつけられることが多かった。
俺は彼女を守ることを義務付けられた。かつて彼女の父親が母親を守ったように…
叔父さんは叔母さんを溺愛してるから出来たことだろうけど俺は違う。
俺は窮屈な日本を離れてアメリカに行きたかった。自由になりたかった。
自分の能力を発揮したかった。でも親父は許してくれなかった。
俺は全て桜花のせいにし、桜花を疎ましく思った。
高校入学と同時に桜花を避けるようになった。2才違う俺達は同じ学校には通えないから、いい機会だと思った。
俺は桜花に見せつけるように日替わりで違う女と遊ぶようになった。桜花に嫌われて、桜花から離れてもらおうと…
そして一年か過ぎた頃、久しぶりに家に帰ったら
少し前に桜花が襲われた。幸い助けられて何もなかったそうだとお袋に聞かされた。
俺は本当に良かったと思った。そして自分勝手に助けたのが自分でないことにショックを受けていた。
俺は桜花を久しぶりで中学に迎えに行った。
俺は中学から並んで歩いてくる桜花と地元の工業高校の男を見た。
桜花を助けた男だそうだ。
俺の高校より遠い高校に通う男…放課後は迎えに来てるらしい
時間を調整して毎日迎えに来てるそうだ
その気があれば出来た事、あいつにあって俺にはなかっただけ
俺はさみしく何か分からない気持ちを抱えた。

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