そしてキスからはじまった
何度か会った時、病院の子供達へクリスマスのプレゼントをしたい、お揃いのものがいいかなっていう彼女にレザーミサンガを勧めた。
一人、一人、色を変えて作ることにした。
材料なら私の店でも手に入る。
私達は私の休みの日に店にやってきた。
出歩けないという彼女は通販で頼もうとしたけど私が車で送迎することにした。

そして材料を選んだ彼女をスタッフルームに案内した。
コートを脱ぐ彼女、今日はニットのワンピースを着てるからお腹が目立つ
「もしかして妊娠…してるの?」今、知ったように聞く
「うん、目立つよね。」
「相手は?」
「一緒に住んでた人」悲しそうに言った。
付き合ってだ人とは言わないの?
「付き合ってたんでしょ」少し微笑んで首を横に振った。
私は彼女に色々色々聞いた。

彼との事、出会いから再会
彼には幸せになってほしいとそれが恩返しだと
「恩返し?」と聞く私にファンと匿名で借金を返してくれたからと…
好きでもない子にそんなことにしないよと言う私に
「同情…女としては見れないって」
「彼が言ったの?」
「ううん、彼女。」
「か、彼女?」
「うん、店を一緒にやってるって言ってた。綺麗な人で彼とはお似合い。
同情だからって言われて我慢してたけど限界だって、出て行って欲しいって言われて当然だと思った…
フランスにいる間だけでもと思ってたけどお腹が大きくなるから無理なのにね。」

ばかだよね。彼が私に本気になるわけないのにね。
俯いて少し微笑みながら呟いた。


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