そしてキスからはじまった
「ソエジマ?」ショーンがつぶやいた。

「はい。青様が社長をされています。ソエジマは国内外の政財界に力をもってます。
娘を差し出すことで助けてもらおうと思ったんでしょう。
迷惑な話です。彼女も役に立たないと親から見捨てられるとなりふり構ってられなかったんだと思います。」

「田中さん。あの女はどうなるんですか?」
「錯乱状態なので落ち着いたら警察で取り調べを受けるでしょう。ただ精神的に罪に問えるかどうかはわかりませんが」
「刑事罰で問えるかどうかはどうでもいいです。親父、俺達の前に二度と現れないように、関わらないようにしてくれ。」
「分かった。田中、あの女の実家に今後私達に関わる事があったら一族もろともつぶしてやると連絡しておいてくれ」
「はい。承知しました。」そう言って私を見て微笑んだ。
では早速、連絡してきますと部屋を出て行った。

「紫音、ジュリアちゃん、二人で話し合いなさい。」そう言って青さん達も出て行った。
先生は心配そうに私を見ていたが青さんに促されて出て行った。

「・・ジュリア、俺に言うことあるよね。」
紫音が私に言った。きっと怒っているんだろう。

「ご、ごめんなさい。紫音…黙っていなくなって」
「そんな事じゃない。…君は妊娠してるよね。...父親は俺だよね。」
やっぱり気が付いていた。宝物の父親は紫音・・間違いないこと
でも・・答えられない私に
「ジュリア?ずっと一緒にいてくれるよね。もうどこにも行かないよね。」
紫音はすがるように手を伸ばした。

だって私は
「ごめんなさい。紫音」
私は部屋を飛び出した。
「ジュリア!」
「走るな!ジュリア」先生の声がした。
ハァハァ、息が切れて廊下の隅に座り込んだ。


< 263 / 274 >

この作品をシェア

pagetop