そしてキスからはじまった
「えっ」

彼女はじっと俺の顔を見た。

澄んだきれいな琥珀色の瞳に吸い寄せられそうになった。

そんなことは知らずに彼女は淡々としゃべりだした。

「私のお父さんある日倒れました。朝起きてこないから起こしに行ったら
胸を押さえて苦しんでました。心臓の病気で手術しないと死ぬといわれました。
難しい手術で手術しても助からないかもしれないとも言われました・・
私とお母さんは家を売ったり借金したりしてもお金が足りませんでした。
・・足りないお金のために私は自分の初めてを買ってもらいました。
手術は受けれましたがお父さんは死んでしまいました。」

初めてを売った?お金で処女を?ショックで

淡々と言う彼女も

何か言わなきゃ、何か・・

「じ、じゃあジュリアのやったことは無駄じゃないか・・」

俺は吐き出すように言った

「いいえ。手術を受けないで死を待つより受けてそれでもダメなのとでは違います。お父さんが助からなかったのは悲しいけど手術を受けさせたことには後悔はありません。」

「・・・」

「でも、お父さんが死んだ私たちに借金をかえすようにと催促がきました。
私たちにはもうお金がありません。そんな時、お母さんの知り合いから孝のお父さんがダンサーを探していると聞きました。契約すれば200万もらえると、ほんの2年がまんすればいいと言われました。2年なんてすぐと思って日本に来ました。」

どうして親のために体まで売れるんだ・・

女にとって初めてなんて大事なものだろう・・

そんな身の上話を躊躇せずに話すジュリアの強さと親を想う一途さを感じ

なお好きになってしまったんだ。

その日その日をなんとなく生きれる贅沢な俺を感じてしまった・・

そして俺はあいつもそう感じたことは知らなかった・・

< 29 / 274 >

この作品をシェア

pagetop