*お向かい彼氏*



「マジで、八田たちから聞いたのかもしれないけど俺、この4年間ボロボロだったから…」



「そんなに?」


「食欲出ないし、寝つけないし…何度も電話もメールもしたよ、1年くらいで諦めたけど…どこ行ってもひかるの姿探してたし」



「…ごめんね、」



切なそうに、苦しそうに話す光輝。



あのときは、逃げたい一心で決めてしまったけど…



「目覚めるとこれが夢じゃないことに失望したし、毎日、毎日ひかるから連絡くるんじゃないかって、戻ってくるんじゃないかって、連絡先もこの部屋も変えられなかった」



「ひかるの声忘れちゃいそうで何度も残ってた留守電聞いて、2人で撮った写真ばっか眺めて…ひかるがいない4年間も、オレの心はひかるでいっぱいだった…」



「だから今、幸せだけどちょっと怖い。全部夢だったらどうしようって」


あたしを抱きしめて肩に額を乗せながら話す光輝の腕に力が入る。



光輝は、すごくしっかりとした人だったのに。


そんな人が壊れそうになってしまうぐらい、あたしは酷いことをしたんだ。



あたしもつらかったけど、光輝はきっと何倍も…



「大丈夫だよ、あたしはここにいるよ。ずっと光輝のそばにいるよ。」



「…ん、情けない彼氏でごめん」



「え〜可愛いよ?いっつも大人の余裕撒き散らしてる光輝がこんなんになるくらい、あたしのこと好きでいてくれてるってことでしょ?」



にひっと笑うと軽くデコピンされる。



「いたーい!なんでデコピン!?」


「痛くならないように手加減しましたー」


「そ、それはそうだけど、なんでされなきゃいけないのよー!」



「ひかるが可愛すぎるから」


っ!!



ケロっとした顔もイケメンですね!


もう!4年間分格好良さが増しててずるいー!!







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