*お向かい彼氏*
「どうした?なんで泣いてる…?」
もうムードなんて完全になくて、あやすように光輝の指があたしの涙をぬぐう。
だって、あたしは
「最初は…光輝が良かった…」
わかっていたはずなのに。
あの時それを選んだのもあたしなのに。
いざ、しようと思うと、どうしてもそう思ってしまった。
それに…
「他の人に愛された身体でどうやって光輝を愛したらいいのかわかんない……」
思い出しちゃうんだ
あたしの部屋で巧に切ないくらいの愛を感じながら抱かれたことを。
「言わなかったけど…巧としたの、1回や2回じゃないの、」
最後の方は、会う度にするようになってた。
今でも鮮明に覚えてる、不安をかき消すようにあたしを抱く巧の、辛そうな顔…
「あたし、怖いの、光輝にひかるはこんなんじゃないって思われるのとか…なんか、もうよくわかんないけど、怖い」
感情がぐちゃぐちゃで、涙がぼろぼろ出てくるのをずっと黙って光輝はぬぐい続けてる。
「光輝のこと大好きなのに、なんであたしあの時いいよって言っちゃったんだろ…他に好きな人がいるのに抱かれたあたし、汚い…」
そう言うと、頬から手が離れてぎゅっと力強く抱きしめられた。
痛いぐらい、抱きしめられた。
「…大丈夫だよ、」
光輝の表情は見えない。
「俺だって、正直他の人としたことあるし…ひかるがそんな心配しなくていいよ。何があっても俺の気持ちは変わらないし、汚いなんて思わない。」
「光輝は、あたしと別れてから他の人とした…?」
「……してない。」
ほら、やっぱり、あたしだけ…
光輝はずっとずっとあたしを想っていてくれていたのに…。
自分が情けなくて、また涙がこみ上げてくる。
「ひかるは何にも悪くない。俺がしっかりしてれば良かったから…でも」