依存症なあたし様
『おとー…さん?』
周りの野次馬の声があたしの言葉で静まった。
声と足を震わせながらあたしはその人に近づいていった。
近くで見たその人は…見間違えるはずがない。
紛れもない、あたしの大好きなお父さんだった。
「……お父さん?何でこんな所で寝てるの?早くっ起きてよ…っ…!
お父さんが死ぬはずない!ねぇ!目を開けてよ!ねぇ――――!!」
交差点ではあたしの声だけが響く。
いや、きっと周りでこそこそと話しているかもしれない。
それでも、あたしには何も聞こえない。
途中から自分が何を叫んでいるのかわからなくなった。
自分の声すら、考えたくも、聞きたくもないのかもしれない。