最愛レプリカ

「何時だと思ってるの!?近頃しょっちゅうじゃない!」

「ごめんなさい。朋美と……」

「嘘おっしゃい!」


鬼のような形相で睨み付ける母に、少しひるんだ。
なぜ嘘だと分かるんだろう。
なぜ。


「男の人と会っているそうね。あなたが車から降りてくるのを佐藤さんの奥さんが見たって。」


しまった。
うちから離れた場所で降りていても、母達の情報網は侮れない。

津村といい、佐藤さんの奥さんといい、最近の私はマズイ場面を見られてばかりだ。
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