アカイ花†Vermilion Flower

「いいの?」


辺りを見渡して貴方は言う。


「いいんじゃねえ、ほらっ」


貴方の手に触れて並んで歩く道のりは、さっきまでの景色がガラリと変わって、素晴らしい景色がずっと向こうまで広がる。


「あっ、うちの生徒」


パッと放す、二人の手。


「どこ、どこ?」


辺りを何度も、慎重に見渡す私。


「アサヒ、どこにもいないよー」


貴方は、右側の口角だけを上げて悪戯に微笑んでみせた。


「嘘だ」

「えっ、もう、びっくりしたぁ」
 

大好きな貴方の手が私の手にもう一度触れて、指と指を絡ませて繋ぐ。

どこへ行くにも辺りを気にしてこんな感じだったけど、それでも二人きりの時、デートは楽しくて、ものすごく幸せだった。
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