アカイ花†Vermilion Flower

教室内は、帰る生徒と掃除を始める生徒、残ってお喋りをしている生徒で分かれる。


「リコ、掃除当番でしょう?

 終わるの、教室で待ってる」

「うん」


職員室と保健室が並ぶ廊下を、私は掃除する。

ここは、職員室を出たり入ったりする先生方の、いつもとは違う素の姿が垣間見れたりする。

職員室の、入り口付近に置かれたマットを上げて廊下を掃く私の瞳に、職員室内、廊下側近くで美人英語教諭の福原先生と親しげに話す浅緋の姿が見えた。

見るつもりなんて無いけど、見えてしまう。


「もう、蜂谷先生ったら・・・

 あっ、そうだわ、ごめんなさい
 忘れるところでした
 
 あの~」


福原先生は、浅緋の耳元に唇を寄せて確かにこう言った。
 

「この間は、ご馳走になりました」

「ああ、いえっ、こちらこそ
 あそこ・・・」


聞くつもりなんてなかったけど聞こえてくる。

だけど、浅緋の声は低く、聞き取りにくい。
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