アカイ花†Vermilion Flower

「アサヒ
 会いに来ちゃ駄目だよ
 
 飲酒運転だけは、絶対に駄目」

「ああ、分かってる」

「昔みたいに、お隣さんだったら
 よかったのに~」

「だな!」

「ねえ、アサヒ

 明日、会える?」

「ああ、会いに行くよ」


いずるさんには、もう会わない。

会っても、恋心なんて抱いたりしない。


彼が私に優しくしてくれるのは、私が怪我をして大変そうに見えたからで、私に向けられるあの微笑みに何の意味も無い。


それに私は、浅緋が好きなんだもの。

浅緋を愛してるんだもの。


その時、私の脳裏には、いずるさんの姿が浮かんだ。

松葉杖を付いてゆっくりと歩く、私の歩幅に合わせて、彼はその細い腕で私の背を支えてくれる。

彼の少し照れた笑顔が忘れられない。


「どうして・・・」


掻き消そうとしても私の頭の中から、いずるさんは消えてくれない。
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