瀬々悠の裏事情

「そうなんスか?」

「ええ。姫は知りませんが、そういうのは自分で探して見つけるもんでしょう。敷かれたレールを辿るだけの人生なんて味気ないです」


そう言い放った千秋の表情は、変わらず笑みを浮かべていたものの、どことなく寂しげでもあった。
しかし千秋が自分と似た考えを持っていたことが分かり、瀬々は嬉しさからか笑みを浮かべる。


「千秋さんのそういうとこ、いいと思いやす」

「あはは。嬉しいけど、出来たら女の子に褒めらたいなぁ」

「彼女いないんスか?」

「残念なことに、絶賛片想い中です」

「マジっすか!誰です?」

「秘密です」


その後、瀬々は様々な方法で探りを入れてみたが、千秋が白状することはついになかった。


「とりあえず、俺が知ってるのはこんくらいかな。役に立てたかは分かんないですけど」

「そんなことないッスよ。すごく助かりやした」

決定的な情報ではないにしろ、七華の詳細や桐島の背景など依頼遂行の足掛かりにはなる。
仮にそうでなかったとしても、貴重な情報であることに間違いはなく、ここに来た意味はあったと言えた。


「それなら良かった。他に気になったことがあったら、いつでも聞いて下さい。出来る限り協力します」

「ありがとうございます」


それから瀬々と千秋は軽い立ち話をした後、里歌が戻ってきたのと同時に入れ替わり、チーム調停部へと向かった。


「わざわざすいやせん」

「いいんですよ。俺も仕事をサボる口実が欲しかったですし」

「やっぱ大変なんスか?一般対策部は」

「どっちかといえば、ですかね。まぁやってる事は大したことないんですけど、人手不足が深刻で。大事でない限りは、基本的に愚痴聞きですから滅入っちゃう人とかいたり」

「なるほど」


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