今日も、明日も、明後日も
「千鶴子さんからもらったものを全て返しきれるなんて思ってない。だけど、それでもこれから沢山返していこうって思ってた。……なのに、いなくなっちゃうんだもん」
貰った愛を、日常を。これから返していこうって、そのために頑張っていたのに。その姿は、唐突に消えてしまったんだ。
「千鶴子さんの家に行ったら珍しく閉まってたからさ、近所の人に聞いたら『お孫さん一人残して亡くなった』って言われて。いつか来るとは思ってたけど、信じたくなかった」
一瞬途切れた会話に、響いた電車のアナウンス。それに呼ばれるように、二人は最寄り駅へと降り立つ。