今日も、明日も、明後日も
「……どうせ子供だから何言っても許されるって、そう思ったんでしょうね」
「子供って、大人が思う以上に大人の言うこと分かってるんだけどねぇ」
幼心に埋め込まれた、自分の在り方。
ワガママはいけない。いい子じゃなきゃいけない。存在することが、迷惑なのだから。
「だから、そうやって表情固くして隠してるの?」
「いえ、表情が固いのは元々です」
「あ……すみません」
「別にいいですけど。……ただ、常に堅実に地味にと生きようとしているのは、その言葉の影響があるんだろうとは思います」
おばあちゃんはなにも言わなかったけれど、自分の心にはずっと残っていた。これ以上迷惑をかけないように、負担にならないように。その気持ちばかり。
「きちんと、恩を返したかった。迷惑ばかりかけていたから……幸せに、してあげたかった」
私のことなんて考えなくていいように、好きなように暮らして、好きなように出かけて、自分のために生きてほしかった。
「……そっか、」
小さく呟いた一言に、テーブルの上の小さな器にはロウソクが溶けては伝う。