今日も、明日も、明後日も



スーツ姿の綺麗な女性を連れて、店内を歩く男の人。茶色いくしゃくしゃとさせた髪にストライプのシャツと黒いジャケット。



「……」



振り向いた顔は、間違いなく彼。

伊織さん、だ。



彼はその女性と何やら話をして、商品を選んでいる。指輪をひとつ手に取り、女性の指にはめて迷って、また他の指輪を手にとっては悩ましげに首を傾げ、笑う。



「……」



眺めるうちに信号は青に変わっていたらしく、周りの人々はゾロゾロと歩き出した。前から後ろから押し寄せる人の波に、たった一人動けずに立ち尽くす私はさぞかし邪魔な存在だろう。




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