バーテンダー

自販機に踵を返して、金髪クソ野郎の待つバ―へと一歩踏み出すと

ドシン

背中に重く、冷たい感触。

一瞬、さっき蹴飛ばした反動で、自販機が倒れて来たのかと思ったが、自販機なら熱を持っていて熱かったはず。

氷水を浴びせられたような何とも言えないヒンヤリとした感覚。

あまりの重量に、身体が動かない。

膝が崩れそうなところを踏ん張り、首だけを後に向けた。

シャンパンの香りがした。

香りと言うか、むせ返るほどの濃い匂い。

匂いだけで酔いそうな、そんな匂いだった。

耳元がゾクリとした。
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