バーテンダー
「ハハハ。よく分かってますね。勘違いしない女性は嫌いじゃないですよ」

「そう?じゃあ、わたしのこと好きになってくれる?ってこれって思いっきり勘違い女じゃん」

「面白い人ですね。自分でボケて自分で突っ込むなんて……」

首を後に回したまま、笑いかけてやると
「イヤ―。お兄さん。ホストでも出来そうなくらいイケメンさんじゃない。あと一時間早く、お兄さんと出会っていたらこんなに浴びるほどシャンパン飲まなかったんだけどな」

「そうですね。うちに来て飲んで頂けたら良かったのに。相当飲んでらっしゃるでしょ?」

「うん。飲んだ。フラフラで歩けないくらい飲んだの」

「じゃあ。サービスとして、このまま、背負ってうちのバ―まで運びましょうか?」

「いいの?」

「はい。ここに捨てておくわけにも行かないですし、この自販機には煙草を買いに来る酔っ払いが多いんですよ。女性がうずくまっていたりすれば、危険です。裏路地に連れ込まれて、何されるかわかりませんから」

「なんか……お兄さん、優しいね」

「いえいえ。普通ですよ」

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