バーテンダー

前にニューハーフと間違えられたと言っていたが、このファッションセンスのせいだ。

「マホさん……久しぶりです」

「久しぶりにタモツさんの顔が見たくなったの」

「嬉しいです。久々ですから今夜はサービスしますよ」

「嬉しい。タモツさんはそれだから好きよ」

そう言ってマホが俺に飛びついて来た。

するとマホが、つけマツゲをパチパチさせながら鼻をクンクンさせる。
下品な仕草に目を逸らした。

「あら?シャンパン?」

「ええ。さっき、ここにいた女性が……」

逸らした目の先のドア。

アスファルトの上に水たまりが出来ていた。

たった今、溜まったばかりのような水たまり。

身体に寒気が走った。

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