キミの風を感じて
「部活がんばってる子たちと接していると、自分ってホントに何もないんだな、とか考えちゃう」
ため息まじりにそう言うと、高梨くんがこっちを向いた。
「そーかぁ?」
「うん。みんなキラキラ輝いて見えるもん」
「それ、錯覚。やつらは脳みそまで筋肉でできてんだから毒されんなよ」だって。
そのとき、後ろから来た自転車をよけようとして、高梨くんがわたしの手をとり、グイッと引っ張ってくれた。
「危ねーなぁ」
去っていく自転車をにらみながら彼はつぶやく。
すぐに離れた高梨くんの手は大きくて、指先が硬くてちょっと痛かった。
「ギターで?」
ギターをやってる人の指って、皮が何度もむけてタコができるって聞いたことがある。
「ああ、ガチガチだろ?」
高梨くんはその手を無造作に制服のズボンのポッケに突っ込んだ。