キミの風を感じて
バカバカしくなってベンチから立ちあがり、高梨をにらみつける。
「もういい?」
やつはシカトしてコーラを飲み干し、それから俺を見あげてボソッと言った。
「お前なぁ、メール1本送っただけでカッコつけてんじゃねーぞ」
それからゆっくり立ちあがると、今度は上からギュッと、俺を見おろした。
「こんな大事なことなのに、何で紗百の気持ち、ちゃんと聞かねーの?」
「彼女が悩んで出した結論なら、俺は……」
「お前のは、言葉が足りないんじゃなくて、」
ドゴッとグーで胸を突かれた。
「心が足りねーんだ」
やつの目が真っ直ぐに俺を見ていた。
「まぁ、勝手に自滅しとけば?」
スッと視線をはずして、高梨はコーラの缶をゴミ箱にポーンと投げた。