キミの風を感じて

「でも、お荷物になっちゃうのに……」


わかっているのに引き受けなくちゃならないのはやっぱり苦痛だ。




「立木さん、そんなに足遅くないって」


本荘さんはそう言った。


「え、お、遅いよ」


「体育一緒だろ? あんだけ走れたら大丈夫だよ。他のメンバー結構速いし、作戦だって立てたんだ」


なっ、と他の子たちと目くばせをする。




「メンバー足りなくて棄権かもって、マジでイラついてたんだ。バカみたいじゃん、そんなの。

だから立木さんが引き受けてくれて、走れるだけでもスカッとしてるんだよ、みんな」


本荘さんはそう言って、また朗らかに笑った。


走れるだけでもいいだなんて、めちゃくちゃハードル下げてくれちゃっている……。




だけど、爽やかで人懐っこい笑顔をまともに食らうと、『いいのかな』って思えてくる。


こんなわたしでもがんばればいいのかなって……。




加島くんなんかより、ずっとずっとプリンスだな、この人。


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