災厄の魔女

 「ハイハーイ。待ちに待ったこの日がやってきましたよ、皆さん」


巨大なホールに響く元気はつらつな女性の声。
中央に設置されたステージに立つ彼女の周りにはこの学園の全生徒の姿があった。




 「年に一度、自らの魔力の強さをアピールする事のできるこの日。各クラスのギルド長も見物に来ているので、思う存分自分の実力を発揮して、自らの運命を切り開いて下さいね!」


そう、今日は魔力を持って学生同士が争い合う、俺の一番大嫌いなイベントがこれから行われるのである。



年に一度、全生徒参加型で行われるこのイベントはトーナメント制。


年齢、性別関係なくランダムにあてがわれ、互いに魔力を持って争い合い勝敗を決める。


しかし実際の所勝敗では無く、どれだけギルド長に自らの力をアピールする事ができるかが重要なのだ。


ギルド長に見込まれれば、この学園を出てギルドに所属する事が可能。


クラスの高いギルドに所属する事。

それが全生徒の目指す最大の目標。

したがって今日は腕の見せどころ。


皆この日に賭けていると言っても過言ではない。



まぁそんな事、才能の無い俺には関係のない事だが。






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