闇夜に真紅の薔薇の咲く
勢い込んでそう返したのは、麗だ。






朔夜たちの三歩後ろにいた彼女は、驚く速さでとんできてルイの手を取って握る。





その瞳の輝きは、女なれしたルイでも若干頬を引きつらせてたじろぐほどだ。






勝手に返事をされた朔夜は言葉をなくし、陽雫は目を見開く。






柚梨はというと、先ほどからずっと浮かべていた苦笑に乾いた笑い声が加わる。






最悪だ、と朔夜は誰にも聞こえないようにぽつりとつぶやいた。





(あんまり、関わりたくなかったのに……)





朔夜からして、彼らは正体の知れない危険な人物である。





昨夜の大鎌や銃を持っていた彼らの印象が彼女の中では定着し、更には殺されかけたと言うこともあり彼らと関わることに恐怖を拭えない。





うつむいて眉根を寄せると、どうやら朔夜なしに話しがまとまってしまったらしい。





麗とルイの声が聞こえた。







「ほら、三人ともー! 帰るよー」

「伊織。帰るよ」






ノアールの偽名が紡がれ、我知らず彼の姿を探す。






彼の姿はすぐに見つかった。





自分の席で窓の外を見つめていたノアールは、名を呼ばれたことに気づいたのかこちらにゆっくりと振り返る。










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