とあるうさぎのお話。
その頃、おかあさんはにんげんのお腹の中でした。
子うさぎが倒れる何日か前、おかあさんは、ぴょんぴょんと跳ねながらお家へ帰る道を進んでいました。
少し開けた場所に出たとき、早く鋭い銃弾が、おかあさんの頭に穴を開けました。
おかあさんの額に開いた小さな穴からは沢山の血が溢れだして、おかあさんの真っ白な毛を赤黒く染めました。
少し後、草を掻き分けながらやってきた人間が、おかあさんを掴み上げて、どこかに連れ去ります。
その時、おかあさんの手から転がり落ちた木の実は、踏み砕かれてしまいました。