ダブルスウィッチ
外国の映画に出てきそうなインテリアに目を奪われながら、キッチンへと向かう。


アイランド型のキッチンは大理石で出来ており、広く機能的だ。


こんな生活が出来るなんて夢のようだった。


やはり亮介の妻になれば、素敵な未来が待っているような気がして、えみりは浮かれていた。


だから亮介の機嫌など気にもしていなかったのだ。


朝食と言われて思い付くのは、いつも自分が食べてるようなものばかり。


スクランブルエッグにベーコン、グリーンサラダにトーストとカフェオレ。


冷蔵庫で見つけたヨーグルトに、ジャムを垂らして添えてみる。


テーブルにそれらを運んで、ソファーで新聞を読む亮介に声をかけた。


「亮介さん、出来ましたよ」


いつもより少し上品ぶった言い方で、妻という立場を堪能してみる。


朝食を亮介と一緒にとるなんて初めてのことだから、えみりの顔は自然と緩んでいた。


テーブルの前で足を止めた亮介が、イスに座ることなく並べられた朝食を眺める。


それから盛大な溜め息をついたかと思うと、なにも言わずに踵を返すと、二階へと上がっていってしまった。


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