ダブルスウィッチ
えみりは慌てて携帯に番号を打ち込む。


もちろん自分のスマホの番号だ。


その先にえみりの姿になった彩子がいるはず。


祈るような思いでえみりはコール音が途切れるのを待った。


3ヶ月――


彼女はそう言った。


そこでやめるかどうかはその時に決めればいいと……


果たして彼女は本当に元に戻ることを承諾するんだろうか?とえみりは思う。


えみりの体をした彩子を、亮介が抱くのだと思っただけで嫌な予感がした。


亮介のあの態度を見る限りでは、彩子はもうずいぶん触れられていないに違いない。


今朝の亮介の反応を見ても、それは一目瞭然だった。


けれどえみりには触れるのだ。


いやらしくも丁寧に……


亮介がそれをえみりにした時、それは彩子にしていることになる。


彩子は久しぶりの快感に酔いしれるだろう。


そして、もう元には戻りたくないと言うかもしれない。


えみりはこのまま彩子として生きていかなければならない未来を思って、心底ゾッとしながら辛抱強くコール音を鳴らし続けた。


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