ダブルスウィッチ
ヨーグルトを飲み干して、安っぽい赤いプラスチックのゴミ箱に投げ入れると、彩子は観葉植物の横に置かれた大きな姿見に自分を映した。


見れば見るほど自分とは正反対のタイプだ。


無駄に長い髪をかきあげながら、ショートパンツから覗く長くて細い脚でポーズをとってみる。


Tシャツだけの首もとを指で引っ張ると、中から形のいい乳房が顔を出した。


下着をつけていなくても、垂れることなく上向きのバストの中心には、悔しいくらいピンク色をした小さく可愛らしい乳首と乳輪が見える。


今まで気にしていなかった自分の体と、どうしても比べてしまう。


大きくも小さくもない自分のバストは、年齢と共にそれなりに垂れてきていた。


乳首にしても、そんなに経験がなくてもここまで綺麗なピンク色じゃない。


「はぁ……」


亮介が、この体に触れたんだと思うだけで、彩子の心は乱される。


3年間も自分は抱いてもらえない日々を過ごしていたというのに、亮介は違ったのだ。


悔しい思いと寂しい思いがないまぜになって彩子を襲った。


想像しているのと、目の当たりにするのでは全然違う。


< 112 / 273 >

この作品をシェア

pagetop