俺様王子と秘密の契約〜幼なじみは婚約者?!〜
さっさとご飯食べて準備しよ!!
聞いた私がバカだった!
カレーを頬張り、やけ食いする。
「何急いで食ってんだよ?」
「仮の婚約だもんね!もう気にしない!」
一瞬でカレーを平らげてお皿を流しに持っていく。
両親達はすごい盛り上がってるし、千隼くんは分からず屋だし!
「…お皿はあとで洗いに来るから!準備してくる!!」
言い逃げるように千隼くん家を出る。
親の気まぐれには慣れてる。
でも…
私は何にこだわってるんだろう。
そうだよ。
仮の婚約だもん。
結婚するって決まった訳じゃない。
まただ。
なんかモヤモヤする……。
一番わかんないのは私の気持ちだ―――…。
自分の家に帰るとさっきまでがうるさかったせいか、一段と静かに思える。
この家ともお別れなのはちょっと寂しいかもしれない。
そんなことを思いながら自分の部屋に行く。
「……洋服だけでいいんだっけ」
大きめのバックをクローゼットから引っ張りだし、持っていく物を揃えていく。
マンションって言ってたけど、どんな感じだろう?
叔父さん達の会社が結構有名なことは前に聞いたことあるけど…マンションまで経営してるのは知らなかったなー。
やっぱり大きいの?
んー…。
楽しみに思う気持ちがないと言ったら嘘になる。
やっぱり新しいところで暮らすってワクワクしちゃうよね。
そう考えると準備も楽しくなってきて、洋服の他にも大切な物をどんどんカバンに詰める。