イケメンSPに守られることになったんですが。
「持ちますよ」
亮司さんが、ひょいと私の手から買い物カゴを奪った。
そして、私のすぐ隣に寄り添う。
「ち、ちか……っ」
「すみません。普通のカップルを演じろと班長に言われてまして」
亮司さんはほら、と少し先の鮮魚コーナーにいるカップルを指差した。
若くて綺麗な髪の長い女の人と、同じく若くてかっこいい男の人が手をつないでラブラブしながら魚を選んでいる。
いやいやいや!サンプルがおかしいから!
あんなラブラブしてる人、そんなにいないから!
「距離を開けない方が、安全ですし」
追加の一言が、心をしぼませる。
自分はマルタイだということを思い出し、途端に気分が萎えた。
「カップルか……」
「すみません、こんなおじさんとじゃ嫌でしょうけど」
本気で言ってるんだろうか。
今日の亮司さんは、服のおかげか本当にかっこいいお兄さんなのに。
むしろつりあっていないのは私のほう。
ほら、すれ違うオバサンたちが、不思議な顔で私たちを見てる。
亮司さんがかっこいいから見とれる→横にいる冴えない女は何なんだろう
って視線で。
「……なんか、不倫カップルか兄妹みたいですね」
「はは、それならまだ良いです。
あなたは若く見えるから、援助交際だと思われると非常に辛いですが」
「ぷっ……公務員ですもんね」
亮司さんの冗談ぽい言い方に、思わず笑ってしまった。
暗に子供っぽいと言われたのかもしれないけど、それは気づかないことにしてあげよう。
「公務員でなくても、警察官でなくても、犯罪はいけません」
非常にマジメな顔で返してきた亮司さんに、また笑いが込み上げた。