イケメンSPに守られることになったんですが。


──ピンポン、ピンポーン……。


『店長、レジ応援お願いします』



……違うだろーっ!!!!


しかし、気が動転したらしい従業員は『トラブルが起こったらとにかく店長』という頭しか回らなかったらしい。


高浜さんは私を抱えたまま走り、その受話器を奪った。



『不審者が現れました。みなさん、店舗の外へ避難してください。
繰り返します……』



しかし、その言葉が繰り返されることはなかった。


男が痛みから回復して立ち上がり、もう片方のポケットから何かを取り出したから……。


……灰色に光るそれは、拳銃。



──パン!!


乾いた発砲音に、今までのん気に見ていた野次馬たちも、まだ事態に気づいてなかった買い物客も、パニックに陥った。


人が出入り口に詰めかけ、子供が転ぶ。


妊婦さんが、自動ドアに押し付けられている。



「や……っ」



誰か、なんとかして。


叫びそうになった瞬間、頭を強く押さえられた。



「あなたはここに隠れていてください!!」



亮司さんが首が痛くなるほどの力で、私をサービスカウンター横のレジの下に押し込む。


すると、遠くから声が聞こえてきた。



「みなさん、落ち着いて避難してください!!」


「大丈夫ですか。
みなさん落ち着いて!!我々は警察です!!
落ち着いて避難してください!!」



新城さんに、矢作さんだ……!


良かった、近くにいてくれたんだ。


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